取材監修:女子栄養大学栄養学部教授 上西一弘先生
あぶらのとり方を知って
生活習慣病の予防につなげよう
あぶらも種類やとり方によっては、生活習慣病の予防につなげることができます。
●コレステロールを抑えるが、とりすぎはNG
「ω-6系脂肪酸」 一般的な植物油に多く含まれているω-6系脂肪酸には、血中のコレステロールを減少させる作用がありますが、とりすぎると動脈硬化を抑えてくれる善玉コレステロール(HDL)まで減ってしまうので要注意。
サラダ油などの植物油は、過剰にとりすぎないことが大切です。炒めものなどに使う程度なら問題ありませんが、揚げものを連続して食べることなどは、なるべく控えましょう。
●DHA・EPAはからだにいいことずくめ
「ω-3系脂肪酸」 ω-3系脂肪酸のおもな種類にはα-リノレン酸やDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)があります。α-リノレン酸はあまに油やえごま油に、DHA・EPAは魚に多く含まれています。とくに、さんま、まぐろ、さば、ぶり、いわしといった青魚はDHA・EPAをたっぷり含んでいます。
ω-3系脂肪酸には、動脈硬化を進める血中の悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪を減らす働きがあります。それだけでなく、同時に善玉コレステロール(HDL)を増やす働きもあるのです。そのため、血管を詰まらせてしまう血栓を防ぎ、脳卒中や心筋梗塞のリスクを下げるのに役立ちます。
ω-3系脂肪酸のうち、DHAは脳に関する働きも注目されています。実は、脳の約半分(乾燥重量)は脂質なのです。DHAが認知症を防ぐのに役立つのではないかとも考えられ、研究が進められています。
日本人が実際にとっているω-3系脂肪酸の摂取量(男性2.55g、女性2.19g/20歳以上、2023年の「国民健康・栄養調査」より)と摂取目安量を比べてみると、摂取量自体は不足していませんが、たんぱく質などと同じく摂取量には大きな個人差があります。とくに魚をあまり食べない人は不足している可能性が高いので、意識してとりましょう。
次のページでは、ω-3系脂肪酸を含む食品についてご紹介します。