取材監修:女子栄養大学栄養学部教授 上西一弘先生
からだでつくられない「必須脂肪酸」は
食事でしっかりとろう
からだに必要な脂肪酸のことを「必須脂肪酸」といいます。体内でつくることができないので、食事からとる必要があります。多価不飽和脂肪酸のω-6系脂肪酸とω-3系脂肪酸は「必須脂肪酸」なので、国の定めた食事摂取基準で摂取量の目安が定められています。
これらの脂肪酸が不足すると、免疫力の低下、動脈硬化などの生活習慣病といった健康リスクが高まるほか、肌荒れなどの皮膚のトラブルを招き、美容面にも悪影響を及ぼすことがあるのです。
ω-6系脂肪酸は若い世代(成人)ほど必要量が多い。
ω-3系脂肪酸は歳を重ねるほど必要量が増える。
「日本人の食事摂取基準(2025年)」より作成
青魚で積極的にとりたい
ω-3系脂肪酸
ω-6系脂肪酸とω-3系脂肪酸のとり方にはポイントがあります。ω-6系脂肪酸はナタネ油、大豆油、綿実油、コーン油、紅花油といった一般的な植物油に多く含まれています。日ごろ、私たちが「サラダ油」と呼んで料理に使っているのは、ほとんどがω-6系脂肪酸を多く含む油です。そのため、毎日の食生活でω-6系脂肪酸が不足することはまずありません。
一方、ω-3系脂肪酸は、あまに油やえごま油(しそ油)など、あまり一般的でない植物油と、さんま、まぐろ、さば、ぶり、いわしといった青魚(背の青い魚)に多く含まれています。魚を食べない人が増えているため、ω-3系脂肪酸の不足が心配されています。積極的にとることを心がけましょう。
ω-6系脂肪酸を多く含むあぶら
ω-3系脂肪酸を多く含むあぶら
次のページでは、ω-3系脂肪酸の働きやその効果について、詳しくご説明します。