取材監修:女子栄養大学栄養学部教授 上西一弘先生
筋肉だけじゃない!たんぱく質の働き
筋肉をつくる材料になるというイメージが強いたんぱく質。じつは筋肉だけでなく、内臓、皮膚、髪、血液中の赤血球、遺伝子などはすべて、主にたんぱく質でできているのです。また、生きるために必要な体内の活動を維持・調節する酵素やホルモン、病原体をやっつけるために使う抗体なども、主成分はたんぱく質です。
からだのたんぱく質は、絶えず新しくなっています。しかも、たんぱく質はからだに多くは貯蔵できないので、毎日とる必要があります。食事からとるたんぱく質の量が足りなかったり、何らかの理由で体内で使われるたんぱく質の量が増えたりすると、からだはたんぱく質不足に陥ります。すると、以下のような症状が現れやすくなります。健康を保つためには、きちんとたんぱく質をとることが重要です。
たんぱく質が不足するとおこる症状
・代謝(体内で行われる活動)が低下して疲れやすくなる。
・集中力、やる気が低下する。
・筋肉が減って体脂肪が増えやすくなる。
・とくに高齢者では、筋肉の減少はからだの機能が低下するサルコペニアや、からだが虚弱になるフレイルを招きやすくなる。
・子どもの場合は成長障害を招く。
・肌や髪のトラブルがおこりやすくなる。
・貧血をおこしやすくなる。
では、たんぱく質が不足しないためには、どれくらいの量をとればいいのでしょうか。次のページでは、たんぱく質の摂取量や目標とする量について、詳しく説明します。