Oishiine!!便り
2025/02/12

マルハニチロのお仕事紹介「陸上養殖のサクラマス!陸でお魚を育てるプロ編」

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こんにちは!マルハニチロ担当者Mです。

最近、養殖魚の世界が進化しています。育て方にこだわったり、その地域ならではの農産物を食べて育った「ブランド養殖魚」など、スーパーで見かけた方も多いのではないのでしょうか?

マルハニチロも、みなさんの食卓にぶりやかんぱち、完全養殖のクロマグロ等、様々な養殖のお魚をお届けしています。

加えて、マルハニチロはみなさんへ水産物を安定してお届けし続けるための次の一手として、陸上養殖にも取り組んでいます。養殖と聞くと、海の上に生け簀が並べられた様子をイメージする人が多いと思いますが、実は、魚の養殖は陸上でも行われているんです。

今回は、山形県遊佐市にある「マルハニチロ中央研究所 遊佐試験場」で、サクラマスの陸上養殖に取り組む中央研究所リサーチ二課の圓谷(つぶらや)さんにお話を伺いました!


▲遊佐試験所でサクラマスの陸上養殖の研究に取り組む圓谷さん

陸上養殖とは?

そもそも、陸上養殖とはどのような養殖なのですか?
その名の通り、お魚の養殖を陸上施設の水槽で行う方法です。
陸上養殖ならではの強みはありますか?
施設内の管理された水槽で育てるため、生育環境が最適化されている、これに尽きます。赤潮や台風のような自然災害もなく、水温等の環境変化の影響もほぼ受けません。また、稚魚の時から配合飼料を与えて育てるので、餌由来の寄生虫のリスクがありません。


▲遊佐試験場に並ぶ水槽

陸上養殖でサーモンを育てる理由とは…?

遊佐ではサーモンの試験養殖をしているのですよね!
はい。ヤマメの降海型であるサクラマスを養殖しています(ヤマメのうち、より多くの餌をもとめ海におりて行き、海で餌を食べ大きく成長したものがサクラマス)。いわゆるサーモンとよばれる魚の一種ですね。ただ、トラウトサーモンやアトランティックサーモンは外来種ですが、サクラマスは在来種(元々日本にいる魚)です。


▲サクラマス

サーモンを選んだ理由とは?
まず、世界的に大きなマーケットがあること。国内でもサーモンは大変な人気ですよね。
他には、サーモンの生態的な特徴があります。通常、ふ化直後の稚魚は小さく、専用の飼料が必要なのですが、サーモンの場合は違います。稚魚が他の魚よりも大きいので、ふ化した後すぐに成魚と同じように配合飼料を食べてくれるんです。


▲配合飼料

 

確かに!いくら(サーモンの卵)は一粒一粒が他の魚の卵と比べても大きいですね。大きなサイズで生まれてくるということはそういう利点があるのですね。

遊佐での研究~育種とは?~

さらに、ライフサイクル(卵からふ化して成魚となり、繁殖するまで)が早いため、研究の一つである「育種」の効率が高いことも理由です。
育種とは?
簡単に言うと、成長が早い、形の良い雄・雌を選抜して掛け合わせ、次世代につながる魚を作ることです。その様な個体を親に選ぶことで、成長が早く、形の良い個体が生まれやすくなります。遊佐での試験養殖が始まった2017年から育種を繰り返しており、生産効率は大きく向上しています。

▲遊佐試験場の水槽で泳ぐサクラマス
※動画再生時には音声が流れますので、音量にご注意ください。

育種はまさに試験養殖の要なんですね!他にどのような研究を進めているのですか?
親魚の飼育管理において、照明を点灯する時間を変えて魚にとっての日照時間を調整したり、飼育水温を上げ下げすることで、季節を勘違いさせ親魚に年に複数回の成熟・産卵をさせる、という研究をしています。これにより、通年で生鮮のサクラマスを供給できる体制づくりを目指しています。


▲照明を点灯する時間を変えることで日照時間の調整が可能

遊佐から山形、山形から全国へ!

育ったサクラマスは、どのように消費されるのですか?
一尾あたり3kg前後まで成長したサクラマスは、いくつかの事業部の協力を得て販売試験が開始されていて、日本の在来種として評価され始めています。またこれとは別に、サクラマスが大きくなってくると、水槽の密度調整のために出荷サイズに満たない魚の一部は水揚げされるのですが、昨年はこれらの魚達が遊佐町の小学校に提供されました。


▲遊佐町立遊佐小学校に提供されたサクラマス

サクラマスが山形県の県魚ということもあり、食育の一環で給食の食材として提供したのですが、食べ残しがゼロと聞きうれしかったですね。今年は町内の小学校の他、中学校の給食でも提供されることになっています。
食べ残しゼロ!それだけおいしいと思ってもらえたということですね。
今後は、地産地消レベルからサクラマスの養殖技術を広めていき、庄内地方や山形県内での消費及びサクラマスの養殖事業者拡大を目指しています。そして、山形県の県魚であるサクラマスをブランド化し、遊佐から山形、山形から日本全国へと広げていくのが目標の一つです。

これからの陸上養殖

今後、サクラマス以外にも陸上養殖の予定はありますか?
大規模なアトランティックサーモンの養殖に取り組みます(※)

(※)三菱商事と共同で、アトランティックサーモンの陸上養殖を進める合弁会社アトランド株式会社を設立


▲アトランティックサーモン

日本の回転寿司でも大人気のサーモンですね!多くは北欧や南米から輸入されていると聞いたことがあります!
そうですね。海外から日本に運ぶ必要があるためCO2の排出量も多くなりますし、輸送コストもかかります。だからこそ、国内でアトランティックサーモンの陸上養殖に取り組むのです。

▲遊佐試験場の水槽内で泳ぐアトランティックサーモン
※動画再生時には音声が流れますので、音量にご注意ください。

いかがでしたか?本日は、陸上養殖に携わる、中央研究所リサーチ二課のお仕事を紹介しました。

ご覧になった感想や次回のお仕事紹介のリクエストなど、コメント欄への投稿お待ちしています。

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