こんにちは!マルハニチロ担当者Nです。
今回は、缶詰博士・黒川勇人さんが講師を務めた「防災食作りの体験教室」(主催:一般社団法人きょうどうみんなの文化教室/2025年11月30日開催)をレポートします。
水や電気がいつも通りに使えない――そんな“もしも”のとき、食事をどう確保するかは大きな課題のひとつ。特に、親がそばにいない状況も想定すると、子ども自身が「食べるまでを自分で完結できる」準備は心強いものです。
教室でどんなことを学び、どんな工夫があったのか。黒川さんのお話とともにお届けします。「備える」だけでなく「実際にやってみる」からこそ見えてくるヒントが詰まっていました。
缶詰博士/黒川勇人さん
これまで世界53ヵ国、1500種類以上の缶詰を食し、商品開発も手掛ける世界一の缶詰通。
缶詰の魅力を一人でも多くの人に伝えたいと「缶詰博士」(公益社団法人・日本缶詰びん詰レトルト食品協会公認)として、TV、ラジオ、雑誌、新聞など様々なメディア出演や執筆活動で活躍。現在の保有缶詰数は約4200缶(2026年1月時点)。
――黒川さんが防災食作りの体験教室を開くことになったきっかけとは?
缶詰の魅力は、常温で3年間と長期保存できることです。高圧で加熱殺菌しているので安全性が高く、缶自体も頑丈で衝撃にも強い。タンパク質をしっかり摂れるうえ、素材や味付けのバリエーションもとても豊富です。
私が日本缶詰びん詰レトルト食品協会公認の“缶詰博士”として活動を始めたことがきっかけで、防災イベントのトークショーなどで「防災と缶詰」についてお話しする機会が増えました。缶詰の魅力やおすすめの缶詰を紹介したり、親子向けに防災食として缶詰やレトルト品をどう活用するか、アレンジ方法を伝えたりすることにも力を入れています。こうした活動は2015年から続き、気づけば10年になります。
――防災食作りの教室を開くうえで、特に大切にしていることは何でしょうか?
もしものときは、いつもの環境とは違い、水・電気・食事も普段通りにいかない可能性があります。今や共働き世帯が7割という時代ですから、災害時に大人がそばにいない状況も十分ありえる。そんなときにも、子どもが自分で食事を作って食べられるようになってほしいと思っています。
大人はある程度我慢できますし、状況に順応することもできるでしょう。でも子どもはそう簡単にはいきません。非日常の環境のなかで、私たち大人が子どもに対してできることは、「いつもどおりの生活」や「いつもどおりの食事」にできるだけ気を配ることだと考えています。
今回のような防災食作りの教室を通じて、災害時の環境を具体的にイメージしやすくなることを期待しています。
――どんな内容の体験教室だったのでしょうか?
今回の体験教室では、次のような体験をしてもらいました。
まず、火が使えないときの食事として、アルファー化米を野菜ジュースで戻す方法を紹介しました。炭水化物に加えて食物繊維も摂れるので、被災時に多くの人が経験する便秘の予防にもつながります。
また、タンパク質など栄養バランスを考えて、肉や魚の缶詰も試食してもらいました。いざというときのおかずとして役立ちます。
さらに、心を落ち着かせるためには“食べ慣れているもの”のほうが良いこと、その場になって慌てないためにも、非常食は「使い方」も「味」も、普段から慣れておくことが大切だということを伝え、私のおすすめの非常食や道具も紹介しました。
――カセットコンロを使った食事の提案もありましたね!
今回の防災教室で初めて導入した取り組みです。目的は、災害時に大人がいなくても温かい食事を摂れるようにすること。「1. カセットコンロに着火する」「2. 鍋で湯を沸かし、缶詰とフィッシュソーセージを温める」という作業を、お子さん自身の手でやってもらいました。危険を感じる場面ではスタッフが補助しています。
※鍋でフィッシュソーセージを湯せんする際、ソーセージのフィルムが鍋に直接触れないようにしてください。また湯せんしたソーセージは熱くなっています。やけどには十分ご注意ください。
――フィッシュソーセージを湯せんで温める体験を取り入れた理由は何でしょうか?
フィッシュソーセージは、魚肉をフィルムに詰めてから高温で加熱殺菌しているので、実は缶詰の製造方法と考え方が似ています。私自身も好きな食品です。
来場者のみなさんも「普段はそのまま食べることが多いけれど、湯せんで温めるのは初めて」という方がほとんどで、すぐに「おいしい!」という声が上がりました。大人の方からは「香りが立って、食欲をそそる」「いつもと違う食感になる」といった感想もありました。

缶詰ほど賞味期限は長くありませんが、手軽にタンパク質が取れて持ち運びもしやすい食品です。開け方もコツさえつかめば簡単で、手も汚れません。私はキャンプが趣味なので、缶詰とフィッシュソーセージを湯せんしてよく食べています。温めることで食感が変わるのも、湯せんならではの楽しみ方です。おすすめですよ。
――最後に、黒川さんがこの教室を通じて一番伝えたいことは何でしょうか?
親が災害対策を忘れないのは当然のこととして、これからは子どもたち自身にも、いざというときに役立つ実践的な技、知識を覚えてほしいと考えています。災害が怖いものであることは変わりませんが、その怖さを否定するのではなく、「自分を守る力を育てる学び」として防災を伝えていきたいんです。
「知っている」ということが子どもたちの安心につながりますし、知識や経験があれば、いざというときに自分を守る力として発揮できます。だからこそ、今後も楽しみながら学べる体験教室を各地で開催していきたいですね。
こちらもぜひご参加ください