取材監修/東京慈恵会医科大学大学院客員教授、日本医療・健康情報研究所所長、日本生活習慣病予防協会代表 和田 高士 先生
年末年始の食べ過ぎ・運動不足で、おなか周りが気になり始めていませんか?そのままにしておくと、メタボにつながることも。今回、紹介する食事と運動で、軽やかなからだを目指しましょう。
最近では、すっかり私たちの生活に定着した「メタボ」という言葉。正確には「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」の略です。
メタボリックシンドロームとは、ぽっこりおなかといった見た目のイメージではなく、内臓脂肪の蓄積に加えて、血圧、血糖、血中脂質のうち2つ以上がやや高めの状態のこと。それぞれは病気ではないものの、組み合わさることで動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞といった重大な病気のリスクが高くなることから、注目を集めているのです。
内臓脂肪型肥満とは、おなか周りの内臓に過剰に脂肪がたまっている状態のことで、腹部CT検査で測ったときの内臓脂肪面積が100cm²以上のことをいいます。簡易的にはへその高さで測った腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上の場合に内臓脂肪型肥満と認められます。それに加えて、血圧測定と血液検査で下記の条件に当てはまると、メタボリックシンドローム(メタボ)と判定されます。
メタボの傾向を早期発見して、専門家によるアドバイスなどで生活改善を支援するために、40~74歳を対象に行われているのが特定健康診査、通称「メタボ健診」です。対象の人はメタボ健診をぜひ受けましょう。
メタボの予防や改善のためには、日ごろから、どんなことを心がければよいのでしょうか。メタボが引きおこす動脈硬化と、それに関連するさまざまな生活習慣病の対策として、日本生活習慣病予防協会では「一無、二少、三多」という3つの柱で6つの健康習慣を提唱しています。
この健康習慣は、約9,500人を対象にした大規模な調査※で、実践する数が増えるほどメタボの抑制効果があることが示されました。
※出典:Wada T, et al. Effective prevention of metabolic syndrome: A motto for healthy habits-"none of one, less of two, more of three". Obes Res Clin Pract. 2007 1(2):I-II. doi: 10.1016/j.orcp.2007.03.002.
メタボの予防・改善のためには、とくにからだを積極的に動かすように心がけることが大切です。
●からだを積極的に動かす
運動は、肥満の予防・解消に役立つうえ、動脈硬化の抑制効果をもつHDLコレステロールを増やす作用や血圧・血糖値・中性脂肪値を改善する効果などがあります。
たとえば、ウォーキングなどの軽い有酸素運動を毎日30分以上、スクワットなどの筋トレを週3回を目安に行うとよいでしょう。ジョギング、テニス、水泳などの好きなスポーツを週1回以上行うのがおすすめです。つづけることが大事なので、まずは「今よりも10分多く」歩く、通勤時にひと駅歩く、階段を使うなど、日常的にからだを動かす習慣をつけましょう。

規則正しく、内容的にもバランスのよい食事をとるのが基本ですが、そのうえで以下のようなポイントに気をつけることがメタボの予防・改善に役立ちます。
【ポイント①】エネルギー量を見直す
栄養素のうち、おもなエネルギー源となるのは、ごはん・パン・めん類・甘いものなどに多く含まれる「糖質」と、植物油やバター、肉の脂肪などに多く含まれる「脂質」です。肥満を改善するために、食事の栄養バランスを保ちながら、糖質と脂質を減らしましょう。ただし、どちらも完全にカットはしないで、適度にとるようにしましょう。
【ポイント②】肉を減らして魚を増やす
肉や魚はすぐれたたんぱく源ですが、とり方に気をつけましょう。肉の脂には動脈硬化を悪化させる飽和脂肪酸が多く含まれています。肉食に偏らないようにし、少なくともメインのおかずの半分は魚にしましょう。魚は、中性脂肪の低下作用や動脈硬化の改善効果をもつDHA・EPA(体内ではほとんどつくることができない必須脂肪酸の一種)を多く含むので、メタボ対策に力を発揮します。DHA・EPAは、さば、さんま、いわし、まぐろなどに多く含まれるため、積極的にとりましょう。
DHAについて、以下の記事で詳しく説明しています。
DHA(ドコサヘキサエン酸)は、体内ではつくることができない必須脂肪酸であるω(オメガ)-3系脂肪酸の一種で、おもに魚に多く含まれています。脂肪酸とは、あぶらを構成する主要な成分で、とくにω-3系脂肪酸にはさまざまな健康効果があることがわかってきました。
【ポイント③】野菜は1日350gを目標に
野菜には各種のビタミン・ミネラルと食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維はほぼエネルギーがないうえに腹もちをよくし、肥満対策に役立ちます。さらに、血糖値の急上昇を防いだり、コレステロールなどの血中脂質を改善したりする作用もあります。
厚生労働省では、1日に350g以上の野菜をとることを推奨しています(現在の日本人の20歳以上の1日あたりの野菜摂取量の平均は256g)。生野菜なら両手に3杯、加熱した野菜なら片手に3杯程度、おひたしなどの小鉢料理なら5皿分が目安です。
【ポイント④】食べる順番を意識
食物繊維(野菜やきのこ類など)→たんぱく質(肉・魚など)→糖質(ごはんやパン、めん類など)の順番で食べることで、糖質の吸収がおだやかになり血糖値の上昇が緩やかになります。またゆっくりよく噛むことで早食いを防ぐことができます。

腹囲が気になってきた人や健診の数値が悪化傾向にある人は、この機会にメタボ解消のための生活習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。まずは「なるべく階段を使う」「野菜の小鉢を増やす」「魚料理を選ぶ」といった、自分ができそうなことから始めてみましょう!