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2025/07/01

楽しい夏だからこそ熱中症に気をつけよう

取材監修/済生会横浜市東部病院 患者支援センター長 谷口英喜 先生

脱水などで体温の上昇が抑えられなくなるのが熱中症

夏は海や川、山でのレジャーなど、みんなで楽しめるアクティビティがもりだくさん。とはいえ、暑い季節だからこそ気をつけたいのが「熱中症」です。地球温暖化などを背景に、熱中症で救急搬送される人や熱中症で亡くなる人の数は年々増える傾向にあります。

そもそも熱中症とはどんな病気なのでしょうか。通常、暑さや運動で体温が上がると、私たちのからだは汗をかいたり、皮膚の血流を増やしたりして体温を下げます。しかし、気温が高い環境がつづいたり、からだが脱水状態で汗がかけなくなると体温が下げられなくなり、内臓や脳がダメージを受けていきます。代表的な症状としては、めまい、頭痛、吐きけなどがおこります。重症になると、けいれん、意識障害などがおこり命が危険にさらされることもあるのです。

こんな人、こんなときは熱中症にとくに注意!

熱中症は、気温の高さだけでなく湿度も関係します。からだは、体温が上がると汗をかいて、汗が蒸発するときに奪われる熱(気化熱)で体温を下げます。ところが、湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体温を下げにくくなるので、熱中症のリスクが高まるのです。

環境省「熱中症予防情報サイト」では、気温に湿度、さらに照り返しなどによる熱などから計算された「暑さ指数」などが公表されています。夏に外出の予定があるときなどは暑さ指数を参考にするといいですね。

暑さや湿度などのほか、個人的な条件によっても熱中症の危険度は変わってきます。高齢者や子ども、持病のある人、あるいは体調が悪いとき、睡眠不足や二日酔いのときなどは、熱中症のリスクが高くなります。無理をしない・させないことや、こまめな水分補給などを心がけましょう。

熱中症はきちんと対策をすれば防げる病気です!

油断すると命にかかわる熱中症ですが、きちんと対策を行っていれば防ぐことができる病気でもあります。熱中症というと日中の屋外でおこるイメージがありますが、高齢者を中心に、夜間や室内でおこる熱中症が増加しています。その多くはエアコンをつけていないのが原因です。熱中症が増えるこの時期は、エアコンをきちんと使うことも大切です。サーキュレーターや扇風機を使って、冷たい空気を循環させるとより効果的です。定期的にエアコンのフィルターを掃除することも忘れずに。

暑さを自分の感覚に頼るのではなく、温度計、湿度計を部屋に置いて、定期的に確認することも大切です。室内の温度は28度程度、湿度は60%以下を目安にし、自分が快適に感じる温度に設定しましょう。

何より重要な「水分補給」のポイント

熱中症予防でもっとも大切なのが、水分補給や日ごろの食生活です。

まず水分補給については、夏は汗を多くかくため、ほかの季節より少なくともコップ2~3杯(500mL)は多くとりましょう。水分補給は、カフェインや糖分を含まない水や麦茶がおすすめです。カフェインには利尿作用があるため、コーヒーや紅茶、緑茶などのカフェイン入り飲料は、水分を補う一方でからだの水分を減らすからです。

のどが渇いたときは、すでにからだが脱水状態にあるサインでもあります。すぐに水分を補給しましょう。基本的には、のどが渇く前に水分補給することが大切です。とくに汗をかきやすい運動の前後、入浴前後、就寝前、起床後の水分補給は忘れずに。1日8回以上、こまめに水分補給するのがポイントです。


のどが渇く前にこまめに水分補給をしよう

食事の「水分」「ミネラル」も熱中症予防に大切

暑さに負けないからだをつくるには、まずは規則正しく、バランスのとれた食事をとることが大切。食事には多くの水分、そしてからだの水分バランスを整える働きのあるナトリウムやカリウムなどのミネラルが含まれています。また、食事を規則正しくとることは、免疫力を維持したり、体調を整えるためにも重要な役割を果たしています。栄養バランスのとれた食事を3食規則正しくとることが大切です。


栄養バランスのとれた食事で暑さに負けないからだをつくろう

筋肉を増やす「たんぱく質」が熱中症予防のポイント

食事のなかでも意識してとりたいのが、筋肉の材料になる「たんぱく質」です。私たちのからだの筋肉は水分を蓄える貯蔵庫の役割を果たしています。筋肉を増やすとからだに水分を多く蓄えられるため、熱中症になりにくいからだをつくります。

たんぱく質はアミノ酸が結合したものです。アミノ酸のなかでもロイシンは、とくに筋肉の合成に効果を発揮するといわれています。ロイシンは動物性たんぱく質に多く含まれ、とくにあじ、さば、かつお、さけなどの魚類、牛・豚・鶏などの肉類、牛乳、大豆製品などに豊富に含まれています。魚の缶詰や魚肉ソーセージなどを常備しておけば、たんぱく質不足のときに、手軽に活用しやすいのでおすすめです。

監修 谷口英喜 先生
済生会横浜市東部病院 患者支援センター長。医学博士、日本麻酔科学会指導医、日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会専門医。
著書に『熱中症からいのちを守る』(評言社)、『いのちを守る水分補給~熱中症・脱水症はこうして防ぐ』(評言社)など。
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